2012年4月21日土曜日

鳥観鳥聞20080426


鳥観鳥聞2008年4月26日号

I miss you!

 また春が巡ってきて、平和公園は賑やかになってきましたが、今日は我家の庭の話です。

 我家の狭い庭には、巣箱が1つ架けてあります。
2月頃からシジュウカラが、その巣箱を覗いたり、ちょっとだけ中に入るようになりました。
3月になると、その頻度が高くなり、♂(オス)が巣箱の近くでさえずるようになってきました。
何度か巣箱の中で夜を過ごした形跡もありました。
 3月20日頃からは、♀(メス)が向こうから一気に巣箱に飛び込み、 その直後を♂が追いかけるように 飛んで来て、巣箱の横の梅の樹の枝にとまるようになりました。


巣箱とシジュウカラ 2007年2月
 これは昨年の写真 昨年は巣造しなかった
 今年は影響を与えないようにするため写真撮影を控えたため、写真は少ない

 巣箱に入った♀は、10秒ほどで出てきて、大急ぎで向こうへ飛んでいきます。
待っていた♂は、すぐ後を追うように飛んでいきます。
2−3分もしないうち、2羽はまた巣箱に戻ってきて、同じことを繰り返します。
繰り返すうち、次第に♀が巣の中に入っている時間が長くなってきました。
2−3分入ったまま出てこないこともあります。
 ♂は、その間、お決まりの梅の枝にとまって、さえずったり、心配そうに巣穴を見つめていたり ....です。
♂はイライラしてるのか、心配がストレスになっているのか、せっかくほころび始めた 梅の花芽を千切っては捨て、千切っては捨て....。
おかげでシジュウカラさんがとまる枝の花芽は無くなってしまいました!


我家の庭、梅の枝の定位置の♂(巣箱見守り用) 2008年4月
花芽が無くなっている


ロンダトップG Beboは

 調べてみると、巣を造るのは♀の仕事で、♂は監視・警戒が任務のようです。
巣造には、巣材となるコケ、ワラ、犬の毛などを持ち込む様子が観察できるはずなのですが、 向こうから一瞬のうちに飛び込んで来るので、よく判りません。
しかし、♀が巣の中にいる時間は次第に長くなり、数分間入ったままが多くなりました。
私達は「多分、巣の内装工事中なのだろう」と思っていました。


♀が動物の毛をくわえている 2008年4月平和公園にて


なぜおならsticnks

 3月末になると、それまでは薄暗くなるころには、どこかに飛去していたシジュウカラが、 暗くなっても居残るようになり、暗い梅の枝に、おなかの白い模様がボーっと見えていました。
 そして、毎朝4:50になると、 我家の狭ーい庭で「ツピ♪ツピ♪ツピ♪ツピ♪ツピ♪」と歌いだすのです。
朝一番の彼の歌は、それはとーってもやさしく、やわらかな歌声です!
私達は、その声で目覚め、聞き入ります。
 最初の歌は5分くらいでしょうか、続いて、声のトーンを少し上げて歌います。
少しずつ声の調子を変化させながら、10分程我が家の庭で歌うと、お隣、近所で歌います。
そうやって、あたりを歌いながら一巡して、また庭に戻って歌います。
暖かい布団の中で、それを聞きながらウトウトするのは、贅沢の極みで、とても幸せです。
 彼の優しい歌に耳を傾けていると、なぜだか涙があふれてくるのです。
あんなに小さいのに一生懸命生きています。
梅の花芽を千切る憎たらしさといい、なんか私達と同じように暮� ��している感じがします。
人間とか鳥とか、そんな生物学上の種別の違いなんか 越えて、共に我が家の住人、同じ地球人という連帯感を覚え、心がぽかぽかしてきます。
幸せって遠くにあるとは限らないんだなあ....と思ってしまいます。
 それにしても、1羽のシジュウカラの歌に、あれほどバリエーションがあるとは驚きです。
歌う(さえずる)のは♂ですから、みんな彼の歌なのです。
でも、朝一番の歌がいちばん優しくいい声で、必ず「ツピ♪」を5回で区切って歌います。
普段はそうとは限らないので、同じように聞こえるさえずりも、歌い方によって意味が 違うのでしょう。
 巣の近くでは他にも、コマドリのさえずりのような声を出したり、激しい稲光と雷鳴が 怖かったのか「スーースーー」みたいな情けない声を出すこともありました。


我家の庭、梅の枝の定位置の♂(なわばり主張用) 2008年4月


どのように私は霊を運ぶん

 4月に入って。♀が巣箱に入っている時間は10分にも及ぶようになりました。
巣箱から出ても、すぐに戻ってくるので、「ほぼ常時いる」という感じになりました。
♂が梅の枝から「スッチー♪」と呼びかけると、いつもは巣箱から出てくる♀が、必ずしも 呼び声に応えて出てくるとは限らなくなりました。
そんなときも♂は、梅の花芽を千切って捨てています。
「あんたも大変だね、今度♂同士一緒に飲もうぜ!」と声をかけたくなります。

さすがにこうなると、私達も「巣造しているに違いない」と思うようになりました。

 4月9日朝、いつものように平和公園の観察を終えて帰宅すると、庭が大騒ぎになっています。
シジュウカラが定位置にとまり、スズメに対して激しい威嚇をしています。
2日前からスズメが時々巣箱の屋根に乗るようになってしまいました。
その度に威嚇してスズメを「撃退」していたのですが、今日のスズメには「不退転の決意」が みなぎっています。
 しばらくすると形勢はシジュウカラに不利になり、「定位置」がスズメに占領され、続いて シジュウカラは巣箱に近づけなくなってしまいました。
 激しい攻防戦の末、巣箱はスズメのものになりました。 スズメが出入りし、シジュウカラは 我が家の庭にも近づけなくなってしまったのです。

 シジュウカラもスズメもいない静かな時が流れていきます。
寂しいものです。

 私達は巣箱の中を調べてみました。
驚きました!  下の写真のような見事な産座ができていて、卵が1個ありました。
その卵は、残念ながら割られていました。
産座の厚さは5センチほど、下はコケ類、上は犬の毛などで、フワフワでした。
ああ、やっぱり巣造して、産卵までしていたのです!


巣箱の中を上から見る 2008年4月
きれいに出来た産座と割られた卵が痛々しい


 割られた卵を取り除いて、巣箱は元に戻しました。
私達は、がっかりして落ち込みましたが、シジュウカラさん達は、もっとショックだったでしょう。
シジュウカラは、それから庭に来なくなり、近所でも声がしなくなってしまいました。
 寂しく、悲しい2日間が過ぎました。
昼、シジュウカラ2羽が以前と変わらないように巣箱に飛んで来ました!
でも、一瞬のうちにスズメが体当たりを敢行、ブロックされてしまいました。
 4月20日現在、シジュウカラ2羽は、時々庭に水を飲みに来つつ、少しずつ今までの縄張り から離れた場所でさえずっています。
新しい縄張りを確保して、仕切り直しをしようとしているのだと思います。
2羽と一緒に暮らせなくて寂しいですが、近所で元気に暮らしてほしいです。

 スズメが近所に毎年巣造して、巣立ったばかりの子スズメを連れた親が、庭に来ます。
我が家の庭は、農薬を撒かないし、水場があります。
おそらく、この庭はスズメ達にとって、譲れない場所なのかもしれません。
 スズメは、シジュウカラが産卵するタイミングで巣を襲い、最小限の攻撃で、徹底的な 打撃を与えたのだと思います。

 まだどうなるか判りませんが、その巣箱に今度はスズメがワラを持ち込んでいます。
庭ではなく、野山でも、巣がヘビや他の鳥や動物に襲われて、卵やヒナが捕食されることが 多いようです。
森林の伐採が進んだり、枯れたからという理由だけで伐採すると、 営巣可能な環境が少なくなります。
ヒナが育つには、エサとなる虫が大量に必要です。
鳥が営巣できなくなれば、虫は捕食されずに増え過ぎてしまいます。
 下記参考文献にも、シジュウカラがアメリカシロヒトリを捕食したため、被害が縮小したという 記述があります。
秋田市には「アメシロ対策課」とかいう部署があったように記憶していますが、 ドアを開けると、シジュウカラさん達が「ツピツピ....」言いながら忙しそうに仕事している 様子を想像してしまいました。


 たった2羽のシジュウカラですが、いなくなるとこんなに寂しいとは!
もう少し一緒に暮らしたかったのですが、それは私達のエゴ、「野の鳥は野に」ということ なのでしょう....。
少し離れた近所から元気な歌声が聞こえているのが幸いです。
子育てのご成功を心からお祈り申し上げます。

更にアドバンス!  次の参考文献をお薦めします。

水谷高英著 日本野鳥の会編 「みる野鳥記10 シジュウカラのなかまたち」 あすなろ書房

 この本は既に絶版になってしまったようですが、秋田県立図書館で借りることができます。
 とてもいい本なのに残念です。



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